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なぜ今、
企業がYouTubeを
始めるべきか?
- 社会情勢の変化とYouTubeの特性 -
昨今、企業による「動画の活用」が声高に叫ばれています。
しかし、「実際何から始めればいい?」「どう利用すればいい?」
このような疑問を持たれている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
当ブログでは創業以来2000本以上の動画を制作し、企業様のYouTubeチャンネルを多数運営してきた我々が、"動画およびYouTubeの活用" について様々な角度から応えてまいります。
今回は、そもそもなぜ "現代企業において動画の活用が必要不可欠" なのか、特に "YouTubeというプラットフォームが有効な理由" を解説してまいります。
(結城) こんにちは、株式会社WIQOMEDIANの結城です。
(滝) 滝です。
(結城) 弊社は日本最古の YouTubeチャンネル専門制作会社です。
YouTube黎明期の2013年よりYouTube独自の特性に基づいて、企画・制作・運営とワンストップでサービス提供しています。
これまでホリエモンチャンネルやメンズファッション界最大の登録者15万人を誇る
BRチャンネルなど多くの企業様のチャンネル運営を行ってきました。「YouTubeチャンネルってどうやって始めるの?」「そもそもなんで今YouTubeなの?」 といった企業の広報担当者の方々の疑問に対してYouTubeの専門家である我々が解説していきます。
『ファンベース』から読み解く、
高まるブランディングの重要性
(結城) 昨今、企業がPRの手段として動画を活用する事例がとても増えてきています。
その中でも特に、企業によるYouTubeチャンネル運営が注目を集めています。
例えばトヨタやソニー、明治などよく知られている大企業もYouTubeチャンネルを持っているのですが、地方の無名な中小企業であっても登録者数万人や何万回再生というようにYouTubeチャンネルで結果を出しているところがあります。
また、YouTube自体も現在成長しています。2019年の広告売上高は150億ドルと、母体であるGoogle自体の総広告売上もはるかに上回るペースで成長しています。
このようにYouTube自体が成長し、企業YouTubeチャンネルもどんどんと増えている中で未だにYouTubeでの発信を始めていない企業というのはもはや”時代遅れ”ともいえます。
ということで、今回は『なぜ企業がこのタイミングで”動画” 特に ”YouTube”を始めるべきか』その理由を佐藤尚之さんの著書『ファンベース』を引用しつつ簡潔に伝えていきたいと思います。
(滝) 『ファンベース』、皆さんご覧になってますでしょうか。
これは佐藤尚之さんという電通の元プランナーの方が書かれた本で、これからの広告のあり方が簡潔にまとまっています。そして、まさにその広告のあり方が、企業のYouTube運営ともとかなり密接にリンクしているので、今回引用させて頂きます。
これからの日本は本当にウルトラ高齢化社会になっていきます。つまり、これはもう新規顧客数も絶対的に減っていくわけですよね。
特に若い人が減るということは、購買力のある層がどんどんと減ってしまうということなので、かなり企業にとってピンチな状況です。
人口が減っていく一方で、市場に出回る商品はどんどんと増えていきます。そんな状況では、自分の知っている商品の方を買う傾向にあり、新しい商品を自分の中の訴求対象に入れるということはなかなかありません。
そんな状況下では、いかにマスに対していろいろな広告を打って”新規顧客を開拓”し続けるというよりも、いかに”今いるファンを大切にしてその人たちの好意を育てていく”こと、それにより一人ひとりの顧客のLTV(顧客生涯価値)をいかに上げていくかということが、これからの時代において極めて重要となってきくる。ざっくり言うととこんなことが書かれている本です。これはもう各企業の広報の皆さんだったらもすでに感じていらっしゃることだと思うんですが、いかに自社を”ブランディング”していくかということが重要になってくると言うことです。
例えば今までのブランディングというと、ターゲット層の共感を得られるようなストーリーに仕立てたCMを作りテレビで大々的に放送する。このようなにブランドの価値観を押し出し好きになってもらうという手法が、代表的なイメージしやすいブランディングかなと思います。
しかし、今の時代のブランディングは方法が増えたのかなと感じています。
そもそも、”ブランディング”って難しく考えがちなんですけど、すごく簡単にいうと自社のブランドを好きになってもらうことです。その方法として今YouTubeほど優れたものはないと私たちは考えています。YouTubeがいかにこれからのブランディングへ効果的かというところの話を深めていけたらなと思います
YouTubeの発展とTVの衰退
(結城) まず、YouTubeに関するざっとした紹介ですが、現在世界の月間ログイン視聴者数は20億人、1日あたりの動画視聴時間は10億時間超,視聴回数が数十億回と世界最大規模の動画共有プラットフォームです。
(滝) この辺は皆さんもよくご存知だと思うのであえて言うまでもないですけども、この数字も
どんどん毎年成長していっているのでこれからの YouTubeが重要なプラットフォームであり続けるということは向こう10年ぐらいは間違いないんじゃないかな、というのは僕たちも考えています。
(結城) このYouTubeの初期段階では、YouTuberに代表されるような若者向けの楽しいコンテンツが多く、ユーザーも同様に若者層が多かったんですが、最近はビジネス系のコンテンツも増えてきており、上の世代の視聴も増加してきているという状況にあります。
総務省が発表した『情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』でのYouTube利用率は10代 93.5%,20代 95% と若者はほとんど全員が見ているといえます。
上の世代でも、30代 87.4%,40代 80.4%,50代 64%,60代 32.2% とYouTubeが情報を得る手段として完全に浸透してきているという状況です。
『情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』
全体的にYouTubeに登録して視聴する、という習慣のある人がどんどん増えてきている状況というのはもう間違いなくって、YouTube側でも、すごくコンテンツが充実してきています。データでも出ていますけども、40代-60代の人も含め非常に多くの人たちが使っている状況で、私の母も60代ですけど毎日YouTubeを楽しんでいます。
その一方で情報を得る手段として最も主流であったテレビの利用時間ですが、こちらは平成24-29年の間で10-20代では-15%前後、30代でも-9.5%,40代でも-6.6%とどんどんと減少している状況にあります。
(滝) テレビ見ますか?
(結城) 最近はほとんど見なくなっちゃってますね。
(滝) もはやつける習慣がないとか、そもそもないみたいな話はもう特に若い子の間では当たり前になってきてるようですね。かなり見られていない現状にはあるんではないかなと思います。
なぜ、YouTubeがブランディングに効果的なのか?
(結城) ブランドへの”好意”を育てる手段として、動画はとても有効だといえます。
その理由の1つ目は「情報量」です。動画の中には視覚情報や聴覚情報など、短い時間の中に多く盛り込むことができます。
2つ目の理由は、ブランドイメージなどの「世界観」を動画内に表現できること。
3つ目の理由は、出演している人物と実際に会っているかのような”愛着”や”共感”を生むことができる点にあります。
(滝) そうですね。
まさにこの世界観の表現でいえば、例えば三菱UFJ銀行には赤というイメージがありますよね。それを動画の中に効果的に含むことによって、ブランドイメージを強く打ち出すことができる。とか、情報量もすごく多い点もメリットです。しかし、YouTubeをずっと長くやっていて感じる一番大事なことは、最後に言っていた “出演している人物に実際に会っているかのような感覚” を得られるという事だと非常に感じます。
進化心理学という学問がありますが、人間というのはものすごい進化が遅い生き物なんですね。テクノロジー的には、ここ100年でテレビや飛行機などいろいろなものが登場してきたわけです。しかし、人間の脳味噌は基本的にその技術的進歩に本質的には追いついてない。
そのため、「テレビのバラエティ番組でたくさん笑っている人ほど、実生活の友達の数とは関係なく自分は友達が多いと思ってる」率が高いというデータもあるらしいんです。
それぐらい人間は、動画の中に出てくる人と実際に会っているような感覚になってるらしいんですね。人に会えば会うほどその人を好きになる ”単純接触効果” というのがありますが、動画を視聴する中でも実際に会ってお話をしている状態と錯覚して好意が育っていくわけです。
それは最初はパソコンの画面でしか接することができなかったのが、スマートフォンという携帯でき、なおかつ1人が1台持っているような機器が登場し、ここで動画というものもに接触できるようになったわけです。
これまでのことから、「動画を利用してお客さんと接触すること」そして、それを「みんなが持っているスマートフォンで視聴できるYouTubeというプラットフォームを利用する」ということが極めて重要だと私たちは考えております。
(結城) また、YouTubeには”チャンネル登録機能”でお気に入りのチャンネルの更新をいち早く知ることができたり、コメントやアンケート機能を利用して、視聴者の方からチャンネルに対してアプローチを図ることができます。このように相互に交流できるコミュニティを形成することができるのがYouTubeの利点といえます。
(滝) やっぱりテレビなどのマスコミュニケーションと一番大きく異なるのは、視聴者が介在できる隙間があるという点ですね。お気に入りのYouTuberの方がいる方でしたら、すごくよくわかることだと思うんですけど、ある意味完成されていない点があるんですね。
それはもちろんその動画のクオリティもそうですし、出演している方の知識や人柄だったりとか、どこかしらに余白があるんです。そして、その余白を視聴者がコメントで埋めるわけです。
このように視聴者がエンゲージメントしていく余白があることが、YouTubeとこれまでのテレビなどのマスコミュニケーションとは違う点で、よりインタラクティブなコミュニケーションのあり方をYouTubeでは作れるんです。そして、それによってコミュニティが形成されていく。
毎日接触して好意を得ることで、こちらの情報をより受け取りやすくする状況を作れる。これがYouTubeの特色ですよね。
YouTubeがもたらす、顧客行動の変化
(結城) そのために企業がYouTubeの活用で、自社のファンを育成していくことが期待されるということですね。
その際に一番大事なことがあるのですが、それは決して商品を売り込むことではなく、「お客さんをひたすら楽しませて愛着を生んでいく」ということです。
ブランドへの愛着が育ってファンとなることで、自然とそのブランドの商品を買いたくなったり、友達や家族などの周りの人にも勧めたりしたくなります。そうすると売上に関しても、長期的に二次曲線的にグンと伸びていくということが期待されます。
(滝) マーケティングの神様と言われているフィリップ・コトラーがいますが、この人の提唱する「web時代のカスタマージャーニー」というものがあります。それは、”認知” → ”訴求” → ”調査” → ”行動” → ”推奨” という流れになります。
まずは商品を認知しますね。そして、次に訴求段階に入ります。訴求というのは例えば10社認知して、そのうちの三者に候補を絞るという状況ですね。そこから、そのうちの一社のサービスを購入するという行動段階に入ります。そして、それが良ければ他の人に勧める”推奨”段階となります。
ですが、このYouTubeでひたすら発信し好意を獲得していくと、訴求/調査の段階がなくなっていきます。
何故なら、まずはYouTubeで認知してもらい、とにかくその認知した人を楽しませ続けることで好意が育つので、似たような競合他社と天秤にかけられることなくなるからです。
いわゆる ”無比” という、比べるものがない状態です。
”認知” → ”無比” → ”行動” → ”推奨”
ということですね。
自社の言うことは何でもちゃんと受け取ってくれて、その商品を買ってくれる、そんな状況に持って行くことができる。それがやっぱりYouTubeの作れるブランディング効果というふうに考えています。
(結城) それではまとめに入りたいと思います。現在の日本社会では、人口減少が起こっていいる一方、情報・サービスはどんどんと増加しており、新規顧客を獲得することが困難になってきています。
そこで企業が注力すべきなのは”既存顧客の育成”であり、そのためには”好意”を獲得していくことが必要です。そこで、好意を育てる特性を持つ動画を用い、さらにそれを定期的に配信でき、かつインタラクティブなコミュニティを形成できるYouTubeというプラットフォームを選択することが有効な手段となっていきます。
(滝) そうですね。やはり今後の企業のPR・プロモーションというものの考え方として、とにかく商品の性能を訴求したり、見たくもない広告を見せるということではなく、いかに一人ひとりのお客さんと深くつながり、楽しませ好意を得るかということが極めて重要になってきます。それが、間違いなく長期的な増収増益へとつながるわけで、その方法としてYouTubeはこれ以上ない方法であるという時代がやってきてるいうことですね。
(結城) これからも企業の YouTubeの活用に関してさまざまな情報を発信していきたいと思いますので、ぜひチャンネル登録をよろしくお願い致します。
次回は、「成功しているYouTubeチャンネルの事例紹介と、その発信内容のポイント」について解説していきます。是非ご覧ください。
「企業がYouTubeを始める理由」 まとめ